HOME » 協会新聞 » 2026年3月号 わたしの主張

「繋ぐ」

 最近この「繋ぐ」という言葉が流行っている。逆に言うと社会や人がバラバラで各人が孤立している状態にあることを示している。
 人間の脳が今の1600CCまで巨大化した時期は人類がチンパンジーの祖先と枝分かれしてから、森林から草原に進出し、火を使うようになり、穀物を栽培し、大きな集団を作って共同生活をするようになってからの時期(約2万年前)と一致するという。
 大きな集団を作って共同生活をすることが、大脳の新皮質系を増大させる必要があったからのようである。
 人間は生まれつき戦争をするようにできているわけではなく、大きな集団を作ることが、そもそも大脳を使ってたくさんの仕事をこなし、工夫することが必要だったからということである。
 日本は高度経済成長の後、バブルがはじけて、幻の30年で成長が止まっているので一方に超富裕層が集積し、他方に生活に困る貧困層が集積する結果となった。時代をリードした経済思想が新自由主義であった。
 社会保障は再分配の機能を弱体化させられ、一方で軍事優先の予算配分の傾向である。平和と人権を民主主義といったリベラルな要求が背景に押しやられそうである。
 主張の題に「繋ぐ」を選んだのはバラバラでは国民の要求が力を持たないからである。国民がバラバラで相互孤立したままでは、押しも押されない重厚な民主主義は育たない。
 このままでは日本国民が嫌でもアメリカの戦争に引きずり込まれる可能性があり、そのため兵役の義務が出てくる。
 スパイ防止法が近付いていることは十分警戒すべき事態と考える。とにかく、他国とも話し合いを優先し、近隣国とは多くの話し合いのパイプを作り、国民同士の信頼関係を築くべきである。
 そういった他国民との話し合いができる国民に育つ必要がある。排外主義など論外である。
 また、日本の国民同士であっても高齢者と働く世代を分断する論調もある。働く世代もそのうち高齢者になることを考えると、高齢者を尊重しその智恵と力を発揮してもらうべきである。
 都市と地方もそれぞれの良さと機能を分担すべきであり、自然があり人のつながりのある地方の良さを国の豊かさとして位置づけるべきである。
 男女平等も労働し子育てのさまざまな場面で話し合い、対等協力が十分進むように、生まれた子どもがすくすく育つような社会的後ろ立て、競争の促進でなく、協力共同の子育てとしたい。
 コミュニケーション豊かにいつでも誰でも身近に相談できる相手のいる関係、今こそ「繋ぎ」 が必要と考える。
(常任理事 山口 宏和)

●お問い合わせ ●リンク