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わたしたちの主張
平成26年8月12日

共に学ぶ楽しさ

 この2年続けて、保団連夏季セミナーに参加した。2025年というと団塊の世代が後期高齢者となり、医療費、介護費が最大となる可能性のある年である。その時へ向けてどういう財政的基礎を持って、これに立ち向かうかが社会保障の課題であることは確かであろう。特に40兆円かかるという医療費をどう少なく抑えるかも、確かに大切なことであるとは思う。

 しかし、ただ医療費を5兆円切り込むというだけでは、国民と医療スタッフが困難を背負い込むだけで幸せな未来は描けない。

 今回の夏季セミナーで、あまりにも早いテンポの諸改悪の洪水の中で私たちはどうすべきかの課題が提起されたように思う。

 「今こそ保団連、協会運動を待合室から」の提起は、まず医療の現場から医療改善の一歩を踏み出そうということ。今後どんな医療がわが国では必要であるのか。やはり国民的な議論を足元からしていくべきなのであろう。

 医療・介護総合法は19本一括法であり、国会議員ですら理解不能と言われている。

 具体的には介護利用の2割負担化は年金収入の夫婦合計が359万円なら可能とした家計データは誤りであり、2割負担化の根拠が崩れ、政府は答弁不能に陥ったというような欠陥法案であったわけである。

 私たちができること、あなたができることが必ずあり、診療所から声を上げる、患者さんや近くの地域の人々との話し合いの中から声を上げる大切さを学んだ。そういう裾野の広い運動を作り、2025年問題を国民と医療スタッフが知恵を出し合い、力を出し合い乗り越えようという提起である。

 「自らの足許を深く堀り、沖縄人のへて来た体験を掘り起こして、沖縄とは何か、沖縄人とは何か、沖縄人はどう生きるべきかを問い、自己を確立せよ」との伊波普猷の言葉がある。

 これを保団連・協会にあてはめると「自らの足許を深く掘り、保団連・協会・医会の経て来た体験を掘り起こして、保団連・協会・医会とは何か、保団連・協会・医会会員とは何か、保団連・協会・医会会員はどう生きるべきかを問い、自己を確立せよ」という言葉として全ての会員に投げかけられていることになる。

 確かに情勢は難しいし、展望も困難を極めてはいるけど、全てを決するのは国民自身であるということだろう。

 国民自身の決定に保団連、協会がどれほど関与できるかの課題を明らかにしたセミナーだったのではないかと思う。

 生き難い世の中を生きやすくするために、みんなで考え行動しよう。

 こういったゆっくりしてはいるが、民主主義の基本である、知って、議論して、国民全体の意見を集約して、国民の制度を築き上げる習慣こそが今求められていることと思う。

 (常任理事 山口 宏和)

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