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わたしたちの主張
平成25年4月15日

 あれから2年

 大津波が町を飲み込む凄惨な姿、あの東日本大震災から2年が経過した。当時の惨状を映し出すメディアは今やほとんどない。被災地に縁のない人にとって、東日本大震災はすでに過去の出来事として記憶が薄れてきているのではないだろうか。
 現地はすでに復興を果たしているのだと安心されている方もいると聞く。しかし実際はまだ何も手が付けられていない状況のところもあり、復興はこれからである。行方不明者はいまも2500人を超え、避難生活者は31万人を超えている。「続く人口流出」、「がれき処理ようやく半分」、「自治体職員1800人不足」などが被災地の現状である。
 私は震災直後のゴールデンウィークに宮城県石巻市で医療支援を行い、当時の状況を自分の目で確認し、被災者の生の声を聞けたことが貴重な経験となった。そのため他人事では済まされないとの思いが強い。
 さて昨年末の総選挙では政権が変わり、原発再稼働の動きがある。しかし、福島の原発事故の収束の目途はいまだに立っていないはずだ。今年3月18日午後7時前に東京電力福島第一原発の停電が発生し、冷却停止となり、全面復旧には29時間を要した。屋外の仮設配電盤にネズミが入り込んでショートさせた可能性が原因として浮上。仮設の設備に万が一の際のバックアップ設備はなかった。つまり事故の教訓が生かされていないということだ。今回の冷却停止は、住民の不安や安全性への不信を招いた。東電の尾野原子力・立地本部長代理も「判断や対応の甘さを指摘されれば否定はできない」と、非を認めている。
 電力会社は、電力独自の「総括原価方式」によって、経費が高い方がより儲かる仕組みがあることが原発推進の原動力となっており、今後は電力の料金体制を見直す必要がある。
 いまだに収束を見ない福島第一原発事故の現況と国民世論を踏まえ、早期の原発ゼロ実現に向けたエネルギー政策に転換すべきである。
 なによりも人命と健康が最優先である。国民が安心して過ごせる社会になることを切望する。 

(常任理事 千葉 研介)

 

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