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わたしたちの主張
平成29年5月15日

医師と歯科医師

 歯科医師は医師ではないのか?医師は歯を抜いても、歯の型を採っても医療法違反にはならないが、歯科医師は歯とその口腔周辺以外の部分を触ると違反になると医療法で定められている。つまり、医師は歯科医師を兼ねることもできるが、歯科医師は医師の免許がない限り他の領域を診ることができない。医師と歯科医師は明らかに差をつけられ、歯科医師は医師を超えることはできない。
 大学の授業年数も医学部と同じ6年。大学では全身に対するしっかりした教育も受けている。さて、医師は歯の事をどれくらいご存じであろうか?
 すべての健康はよく噛むことから始まるといわれるが、口腔機能の大切さを軽く見られる傾向がある。
 歯科医師は診療の領域が医療法で限られており、それ以上のことはできない。仕事中の患者急変時の気管挿入、あるいは気管切開も単独ではできないようである。ここ最近では、札幌医大で起きた歯科医師の処置が医師法違反に問われた判決が最高裁で確定した。
 医師と歯科医師との所得格差は2倍以上となっている。なぜに医療という分野において対等であるべき診療報酬に差をつけ歯科医療費を低くしているのか。なぜに日本においては医師と歯科医師はこんなに違わなければならないのか。数年前の新型インフルエンザに対するワクチン予防接種においても、歯科医師は蚊帳の外であった。
 口腔の健康は身体の健康を保つためには一番大切なことで、全身との関わりもかなり研究され解明されてきている。
 2014年4月の診療報酬改定で、訪問診療の同一建物で複数の患者を診療したときの診療報酬が医科も歯科も下げられた。医科の診療所は経営に打撃を受け、施設への訪問診療を撤退、縮小を余儀なくされたことは記憶に新しいと思います。しかし、施設への訪問診療を撤退する歯科診療所は聞かなかった。もともと歯科の訪問診療は低報酬であるからだ。ただ、施設において一人を診療した診療報酬の出来高より、二人を診療した診療報酬の出来高が低いことは論外である。早急な改善を望む。
 在宅における歯科訪問診療の重要性は今後さらに高まることが予想される。食べることなくして、在宅や施設での療養はかなわない。口から食べることは、人間の営みで重要な行為であり、十分な咀嚼で栄養摂取ができ、免疫力を高め、低栄養や易感染等の予防になり、基礎疾患の重篤化を防ぐことができる。
 ここ4年間の歯科医師国家試験の合格者数は、受験者数が変わっても毎年2千人程度である。今年の合格率は65%であった。国家資格の試験で合格者数がほとんど変わらないのは、国が操作しているのではないかと疑問を感じる。
 医師国家試験はどうか。過去10年分を見ても、合格者数は変わっているが、合格率はほとんど90%前後である。医師国家試験には疑問を感じない。だが、国家試験の結果を見ると、医科と歯科の差を感じる。
 歯科医師の評価を上げるためには、医師、歯科医師の団体としてわれわれは国民から本当に尊敬され、口腔疾患に大きな関心を持たれるようにもっと努力しなければならないと思う。保険医協会は医科と歯科の団体というメリットを生かそう。もっと医科歯科連携による医療をアピールしようではないか。        
(悔歯科)

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