「2025年問題」
「2025年問題」として以前から取り上げられてきたが、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療給付費と介護給付費を合わせて70兆円を超えると試算されている。高齢者の増加は、医療ならびに介護などの社会保障費の上昇をもたらすことは必定である。では、国はこの高齢者の医療費の抑制のためにどういう方向に医療を向かわせているのか、それは「地域包括ケアシステム」の構築である。周知のように、包括ケアとは1人の患者さんに多くの職種が携わり良好な状態に導くケアのことで、具体的には医療・介護・福祉に関連する人々による医療連携である。
また、オンライン資格確認を基盤とする医療DXの推進により、これまで医療機関や介護施設などに保管されていた個人情報をビッグデータとして活用でき、患者のデータや診療データを効率的に収集・分析できるようになれば、予防医療や早期治療が可能となるということだ。結果として、社会保障費の削減にもつながると考えられている。
要するに、地域包括ケアシステムとは、高齢者が人生の最期まで住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けるために必要な支援体制のことだ。より効率化された医療連携で疾病の重症化を防ぐことが、医療費の削減につながることは理解できる。
ただ、医療機関においては人材面での不足分は医療DXで補うだけなので、少ない人材で効率化を図ることにシフトしていく検討が必要だと考える。医療DXに関しては、賛否両論あるのが現状だ。個人的には効率化を図る上でデジタル化の移行に異論はないが、現段階では負担に感じる医療機関が多いと考えられる。
今後、医療DXにより安心・安全な医療プラットホームを構築し、多くの国民がこれらの利便性を感じ恩恵を受けられること、また医療機関に関しては業務改善が進み、医療従事者が疲弊することなく働ける環境構築ができることを期待している。
(常任理事 藤瀬 恭平)