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わたしたちの主張
令和3年2月15日
生物は進化するもの ウイルスは変異するもの
 古代から、動物も植物も進化を続けてきましたし、細菌もウイルスも変異を繰り返しながら、おのおのの環境に順応してきたわけです。環境に順応できない種属は自然に淘汰されたり、はたまた他種に食われるか追われるかしながら捲土重来を期して、来るべき後生に備えているわけです。
 ヒトに日常的に感染してきた人由来コロナウイルスは4種類あり、はっきり同定されたのは約60年前の1960年代で毎年冬季の風邪の15~30%を占め(残り60%位がインフルエンザで後はアデノ、エンテロ、コクサッキーウイルス等)、症状は軽微でほとんどの子供は6歳までに感染を経験している(国立感染症研究所のホームページより)。それまで個々の動物の種属内での伝搬と感染を繰り返していただけの場合は問題無かったのが、宿主の中で変異を繰り返すうちにその動物から飛び出して人に移り、ヒトーヒト感染を起こし大変な事になっていくわけです。
 コロナウイルスに限っていえば、2002年コウモリ由来のSARSコロナと2012年ヒトコブラクダ由来のMERSコロナと、昨年初頭から出現した遺伝子操作由来(?)の新型コロナの3種があります。遺伝子の塩基配列でいえば3万個の塩基中たったの6個程の塩基の変異なのだが、感染力や病原性に変化がみられる。昨年初頭から人類に襲い掛かってパンデミックを引き起こしている新型コロナは、2021年1月末で全世界の感染者数1億人で死者も223万人になってしまった(日本では感染者39万人、死者5800人)。
 細菌感染に対しては抗生物質の登場により人類が少しは有利になったが、ウイルスに対しては、素晴らしい抗ウイルス剤ができあがるまでは、自力であれ他力であれ抗体を作ることにより自らを守る他方法がない。新型コロナが厄介な点は、全身の血管の内皮細胞を攻撃して血栓を作り、元来は免疫細胞がウイルスを攻撃する際に出すサイトカインが過剰に生産されて(サイトカインストーム)逆に免疫細胞が暴走し正常細胞を破壊し、全身の血管に血栓を作りDICとなり致命的となるわけです。特に、8割を占める若い無症状の感染者が無意識のうちに糖尿病、高脂血症、腎機能障害、脳梗塞、心疾患等元来血栓ができやすい疾患を持つ高齢者に移さぬようにお願いしたい。
 最近、PCR検査の理論的バックボーンになっている論文に10個の欠陥が指摘された。これを踏まえて検査精度が格段に上がれば、全体の8割いる無症状PCR陽性者をすぐ選別できるようになるかもしれません。
  (顧問 野田 芳隆)
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