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わたしたちの主張
令和2年12月15日
オンライン資格確認の現状
 来年の3月から導入されるオンライン資格確認システムの現状と個人的な意見を述べる。
厚生労働省は10月14日の社会保障審議会医療保険部会で、マイナンバーカードの健康保険証利用や、オンラインでの被保険者資格確認システムの準備状況などを報告した。
 具体的には、厚生労働省は来年3月時点で医療機関・薬局の6割程度が導入済みであることを目標に掲げているが、10月11日時点の顔認証付きカードリーダー申込割合は医療機関・薬局全体で14.5%である。内訳は病院11.6%、医科診療所9.0%、歯科診療所13.6%、薬局24.3%となっている。また、マイナンバーカードの交付枚数に対する健康保険証利用の申込割合は、わずか4.4%である。果たして、現在の状況で厚生労働省が掲げる目標に達するのか、誰もが疑問に思うところである。
 オンライン資格確認に関しては義務化ではなく、さらに補助金の交付申請が令和5年6月30日まで猶予期間が設定されているので、医療機関が動向を伺って判断しようと考えるのも理解できる。今の医療現場の経営状況等を考えると、優先順位として低くなるのは当然である。
 このような状況のため、11月17日厚生労働省は、令和3年3月までに顔認証付きカードリーダーの申し込みを行った医療機関・薬局に限定して、一定の補助上限までを4分の1負担もなく実費補助を行うように改めた。
 費用対効果はどうであろう。補助金が支給されるとはいえ、上限が40万円程度である。レセコンとの連携にはレセコンシステム改修が必要になり、場合によっては入れ替える必要も出てくるため、補助限度額は大幅に超える可能性が高く、負担額はかなり増える。システムベンダーにもよるが、私の場合は、レセコンのOSが対応しておらず入れ替えが必要という事だったため、保険証自動入力のためだけの多大な支出に対する費用対効果は低いと考える。
 ただ、佐賀県においては、来年の3月までの導入が条件になるが、オンライン資格確認システムの導入にかかる負担金は、「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援補助金」の対象になっている事は知っていて欲しい。
 また、セキュリティ対策のため専用回線を準備しないといけないが、データ流出、ウイルスの侵入、ハッキングの危険性はゼロではない。もちろん回線使用料は毎月負担していかなければならない。インターネットを利用していない医療機関にとっては、オンライン資格確認のためだけに支出が増えることになる。
 患者数が多い医療機関では、受付の業務効率化や返戻を低減できる効果も大きいとみられるので導入効果も高いであろうが、今までの方法で特に問題を感じていなければ、オンライン資格確認が開始されてからも保険証の持参を患者に周知できれば、ほとんどの対応は可能である。
 当協会は上記以外のデメリットも多いということで反対している。
「オンライン資格確認」の導入は、医院の状況を見極めて慎重に対処していただきたい。また、厚生労働省はオンライン資格認証を導入するならば、導入後の定期的な支出も考えて施設基準を設けて初診料、再診料を加算するなどの施策を検討してもらいたい。
(常任理事 藤瀬 恭平)
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