HOME » 協会新聞 » 202003マスメディアとネットメディアの対峙~フェイクニュース・ミスインフォメーションの洪水の中で~

バックナンバー

 

わたしたちの主張
令和2年3月15日
マスメディアとネットメディアの対峙~フェイクニュース・ミスインフォメーションの洪水の中で~
 「信頼を失う新聞・テレビは滅ぶのか…? 正確なニュースを報道し、民主主義社会のインフラとなるべき報道機関が信用を失っていることに、どう対応すべきか…?」をテーマに、ジャーナリストの池上彰氏と対談した、元Buzz Feed JAPAN創刊編集長で、現ジャーナリストで株式会社メディアコラボ代表の古田大輔氏の記事を読んだことがある。
 古田氏は、私と同郷の福岡市東区箱崎生まれ、福岡市立箱崎中学校、福岡県立福岡高校の私の一学年上の先輩である。中学時代は、古田氏が生徒会長を務められ、その下で私も生徒会役員として活動させていただいた。古田氏は、早稲田大学政治経済学部を卒業後、朝日新聞に入社、アジア総局員、シンガポール支局長を歴任後に、Buzz Feed JAPAN創刊編集長に就任された、今やネットメディア界の新進気鋭のジャーナリストである。
 インターネットやSNSの普及に伴い、フェイクニュース(偽ニュース)やミスインフォメーション(誤報道)と言った不正確な情報がインターネット上に溢れかえり、新聞やテレビと言ったマスメディアの信頼性が下がり続けている。フェイクニュースとは、金銭的な利益を得る目的や政治的に有利な立場を得る目的や自身の虚栄心を誇示する目的で、本当のニュースのように装った全くのデマである。しかし、このデマさえも信じてしまう人が驚くほど多いのも事実である。
 視聴者が知りたい情報のみではなく、知りたくないことでも網羅的に報じることで信頼を得てきたマスメディアだが、総務省や新聞通信調査会、ギャラップ社の世論調査が示すように、新聞、テレビ、ラジオの信頼度は下がり続け、現代の若年層の情報収集源の大部分をネットのニュースが占めるようになってきた。ネットは、限られたマスメディアだけでなく、あらゆる個人が世界に向けて情報発信が可能となり「情報の民主化」とも言える。新聞やテレビで報じられない情報も出るが、それらの情報の中に嘘や不正確なものが多く混在していることが大きな問題となっている。
 フェイクニュースやミスインフォメーションなどの怪しい情報は、視聴者にメディアリテラシーがあれば容易に気付くだろうが、全ての視聴者がメディアリテラシーを持ち合わせていないところに、フェイクニュースの恐ろしさがある。さらに、グーグルやフェイスブックなどのプラットフォームは、各ユーザーが好む内容の情報を上位に表示することで、ユーザーの満足度を上げ「見たい記事や自分に都合が良い記事ばかりを見る」傾向を助長する。
 池上氏、古田氏は「独自の取材で世の中に影響を与えるネットメディアは多く現れているが、日々の出来事を正確に網羅する力は、新聞やテレビには及ばない。欧米では、ファクトチェック(報道内容の事実確認)を行う組織や団体があり、グーグルやフェイスブックと連携してフェイクニュースの検証に取り組んでいる。日本でも、怪しいものは怪しいと指摘することが重要」と結ばれた。
 私自身も、インターネットやSNSはよく使用しており、日々の生活の中で重要なツールとなっているが、溢れる情報をうのみにせずに、反すうしながら吸収するようにしたい。
  (常任理事 梅津 健太郎)
●お問い合わせ ●リンク