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わたしたちの主張
令和5年9月15日
「診療報酬改定実施時期の後ろ倒し」

8月2日に開催された中央社会保険医療協議会において、診療報酬改定の施行を現在の4月1日施行から2カ月後ろ倒しの「6月1日施行」とすることが了承された。今後の中医協論議や改定対応などは、この内容に沿って進められる。答申、告示などの時期は変更されない見込みである。
 これまでの診療報酬改定は、年末の予算編成で政府が全体の改定率を決めた後、年明けの2月上旬に中医協が内容を答申。これを受け、4月1日から実施するのが慣例であった。これにより、2月上旬の答申から5月の初回請求頃までの改定時期には医療機関等やベンダーの負担が非常に重くなっていた。疑義解釈も不十分のまま、4月1日から施行される新点数で患者に負担金の徴収をしていかなければならず、診療に集中できないのが実情だ。
 かつ、ここ数年は、重要な資料が前日の3月31日の夜に公開されることも多く、算定要件が不明確なままの状況で次の日から新改定で診療するというのはかなりおかしな話である。ベンダー側もこの短期間にプログラムを作成し、後日発出される疑義解釈によりプログラムの改修を繰り返す事を行っていた。改定時期は本当に苦痛であり気が重い。
 しかし、施行時期の後ろ倒しの背景には、このような医療現場の負担軽減が主な理由ではなく、オンライン資格確認を基盤とした医療DXの推進が主な理由だと考える。政府の推進する医療DXでは、2024年度には医療機関の各システム間の共通言語となるマスタやそれを活用した電子点数表を提供し、2026年度には共通算定モジュールの本格的な提供により医療機関等のシステムを抜本的に改革し、医療機関等の間接コストを極小化することを目指していると記されている。
 医療DXの推進について全て否定はしないが、情報漏洩やサーバーのダウン等を考慮すると、共通化するようなシステムは本当に必要なのか。現段階の医療現場においては医療DXの推進によるメリットはさほど感じられていない。
 まずは、患者と医療機関に還元され、医療現場の負担軽減と業務効率化につながることを早期に実感させていくべきである。
 最後になるが、診療報酬改定の施行日の後ろ倒しは、医療機関やベンダーはより余裕を持って準備に取り組むことが本当に可能になるのか。準備期間の確保だけではなく、根本的なプラス改定を望む。
 (常任理事 藤瀬 恭平)

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