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わたしたちの主張
令和2年5月15日
新型コロナ感染症は克服しつつある

 人類史上、初めての出来事ではないだろうか。新型コロナウイルス感染症が数ヶ月で全世界の国々、地域にまん延した。これ程速く世界中に広がった感染症は、歴史上みられなかった。
 2019年末より、2020年は新型コロナウイルス感染症出現の時代として歴史に残ることだろう。
 この感染症の終息に向けて私達が行っていることは
(1)感染の拡がりを抑える
(2)医療崩壊を防ぐ
この2点である。
 (1)については感染症理解のセントラルドグマというべき、病原体(新型コロナウイルス)、宿主(人)、両者を結ぶ感染経路(主に飛沫感染、接触感染)に分けて考えてみたい。まず、感染経路を断つこと。感染経路は飛沫感染、接触感染が主であり、エアロゾル感染も少ないが起こりえるとされている。
 現在「3密」を避けることがいわれている。
①密閉…閉ざされた空間、
②密集…不特定多数が集る、
③密接…新型コロナウイルスの飛沫は1m飛ぶといわれている。
この「3密」を避けるように行動を変容することが要請されている。即ち感染経路を断つ目的で、人と人との接触を避けるために、外出の自粛、通勤の自粛、テレワーク、Web会議などの活用がされている。5月12日の時点では、新たな感染者数は減少してきている。各県・各地域毎の判断で自粛要請は段階的に解消されて、文化活動、経済活動が再開されてきている。
 ついで感染症の拡がりを抑えるために宿主(人)側の要因を考えると感染予防として、うがい、手洗いの励行がいわれている。この事は、これまでの日常生活での感染予防と変わりはない。
 病原体(新型コロナウイルス)をみると、RNAをとり囲むエンベロープ表面にスパイク蛋白といわれる突起がみられ、これがコロナ(王冠)のように見えることから、コロナウイルスと名付けられた。コロナウイルス感染症では、2002年~2003年SARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年MERS(中東呼吸器症候群)が大流行した。
 新型コロナウイルスの特徴はまだ十分には確かめられていない。確かな事は、新型コロナウイルスはエンベロープ部分がアルコールや有機溶媒により、容易に感染性は失われる。だから、新型コロナウイルスの消毒は、アルコールや石鹸でよいとされる。
 新型コロナウイルス感染症は80%が軽症で、中には症状の出ない人もいる。感染して症状が出るまでの潜伏期間は2~5日間、長くて14日間とされている。潜伏期間から感染性はあり、また症状の出ない人も感染性を持つとされている。
 (2)については医療体制の維持のために
①新型コロナ感染症の人の中でも、軽症者は自宅あるいは指定のホテルで療養をする。
②新型コロナ感染症を診療する医療機関とそうでない患者を診療する医療機関とを分け、役割分担して、診療を行っている。
 新型コロナウイルス感染症の感染経路を断つこと、医療崩壊を防ぐことは現在、定着してきている。人々の寛容さも保たれている。今ほど医学・医療への期待が高まっている時はないように思われる。
 4月始めより私達の病院でも病院内に入る全ての人の体温を玄関で測定するようになった。この体制を知って衣類を持って来た人だったが、体温計を持参して病院の玄関で測られていた。医療機関への期待と思いやりがつよく感じられた事だった。
  (理事 古賀 俊六)

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