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わたしたちの主張
平成31年3月15日
三月の教訓
 弥生、三月、雛祭りから春彼岸と心華やぎます。
 されど三月十一日も決して忘れてはならない日。人類の歴史に運命の女神が警告を発したような福島原発事故の日、平成23年の事でしたので八年が経ち恐怖や衝撃の記憶も薄れつつあるのではないでしょうか。
 繰り返し想い起こし教訓としなければならない悲劇的な天災と人災でした。地震は天災、けれど原発を作ったのは人間ですから放射能汚染は人災であると判然としています。
 「福島原発事故を経験して脱原発すべきと悟った」と力強く話された小泉元総理に希望の光を見ました。原発は危険過ぎる時代遅れの発電法、と評されているのですから…。
 原発は安全等と今だに考えている人は楽観的すぎると言うべきでしょう。
 楽観的すぎると国を危うくする事は昭和の戦争が証明しています。何故、東條英機首相は楽観的にアメリカと戦争を始めたのでしょうか。あの楽観的すぎる戦争の結果、北方領土は今だに占領されたままです。
 日本の歴史で一番の悲劇とも言える大東亜戦争、それを知らない人も増えつつあり、幼き日に戦争を体験した一人として語り続けなければ戦死者にすまないと思います。
 悪魔の兵器とも称される核兵器が二度、炸裂した後、やっと八月十五日終戦となり戦死兵230万人、一般人の死者80万人、合計310万人の戦争犠牲者と発表されています。
 平成には原発事故という悲劇に見舞われ八年経た現在も四万人以上の人が放射能の心配で自宅に帰れずにいます。
 原爆被爆と原発事故と重ねて放射能汚染の惨劇の試練を経て、日本は大きな使命を帯びているのではないでしょうか。保健所勤務医で30年余り原爆被爆者検診を担当した一医師として幾度でも叫びたいです。
 今、人類が直面しているのは、地球環境の放射能汚染という最も厄介な汚染ですから対策が急がれるべきです。
 書店で「原発のコスト」(岩波新書・大島堅一著)を見つけ原発が一番、コストが高い事を数字で知り、再び幼き日の大東亜戦争を想い出させられました。小さい私の逞しくない腕に細長い棒を持たせられて敵の米兵を突く訓練を毎日強いられ、「日本は絶対勝つ」と教えられた日々!! 想い出すと国家が嘘をつく危険を声高に叫ぶ責務すら感じます。
 「日本は絶対、戦争に勝つ」という虚言と「原発は安全」という虚言に共通の危険を感じて心配です。
 被曝国日本こそ「原発は危険で、高くつき、後世に核のゴミを残し、温排水で地球温暖化する賢くない発電法!! 命と健康を守るために自然安全エネルギーに変えるべき」と世界に発信する責務を負っていましょう。加えて「核兵器廃絶も急ぐべき」と主張する使命が日本にはありましょう。
 (常任理事 太田 記代子)
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