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わたしたちの主張
平成26年6月15日

カルテ記載の改善は審査・指導の改善につながる

 5月11日、朝日新聞の一面に「医療費不正 ずさん調査」との見出しが踊った。診療報酬を不適切に請求した疑いがある調査対象約8千の医療機関のうち、実際には半数程度しか調査せず、残りは放置されているという内容だ。医療機関への個別指導を行う厚生局のずさんさや監視機能の弱さを告発しているが、読者は、多くの医療機関が不正請求を行っており、しかもその多くが放置されていると勘違いする内容でもある。
 記事は個別指導と監査を混同するなど、正確・公正な報道という点で問題があり、保団連理事会では5月18日に「保険医療機関への指導、監査に関わる正確・公正な報道を求める声明」を発表し、記者との懇談も行ったところである。
 記事では「日本の診療報酬制度は複雑で、不正の発見が難しい」と書いている。確かに診療報酬点数表は年々複雑で難解となっており、「点数表の平易化・簡素化」が中医協で検討されるほどである。これを医療機関が正確に理解して請求することは困難を極める。制度の複雑さが請求ミスを招かざるをえない背景についても、記事は報道すべきであると考える。
 同時に、われわれ医師・歯科医師側にも記事の土壌部分について、自省すべき点がないかいま一度振り返りたい。
 毎月提出したレセプトが返戻もなく診療報酬が支払われれば、ほとんどの医師・歯科医師は、自身の診療の流れと請求は間違っていないと思う。ところが個別指導で厳しい指摘を受けると、個別指導終了後は自信喪失し委縮診療に陥る医師・歯科医師も少なくない。

 日々の診療録には診療内容を記載するわけだが、日常は時間に追われて患者ごとの症状経過等が十分記載されていないために、後で説明困難になったり、診療録への記載が必要とされている項目が抜けていたり、そういった脇の甘さが個別指導で指摘されることにつながっているようだ。
 そうならないためにも、まずは点数表を十分に理解し、カルテ記載の充実を図ることが、診療内容の向上と審査・指導の改善にも通じると思う。
(副会長 新井 良一)

 

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