現行健康保険証の存続を!
現行の健康保険証は存続させるべきだ!と考えます。まだそんなことを言って、往生際が悪いと思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしそれは、現在は現行健康保険証とマイナ保険証のいわば二刀流なので、われわれ医療機関側が安心できているからではないでしょうか。
そう思うに至った経緯をご説明します。不具合やトラブルは起きてほしくないものほど、なぜこのタイミングでという時に起こりませんか?先日の土曜日が当院ではまさにそのタイミングでした。金曜日の帰りまでは異常なく使用できていたカードリーダーが、土曜日朝一番の患者さんから使用できなくなりました。通常カードリーダーの液晶画面は、クリニック名やマイナンバーカードを置いて本人確認する手順等が表示されています。この日の液晶画面は白いままです。マイナンバーカードを正しく置こうが、液晶画面をタッチしようが、ピッ、ピッ、と音はすれども画面に変化はなし。オンライン資格確認用のPCを再起動しても変化なし。運悪く土曜日でしたから、レセコンベンダーは営業所、サービスセンター共に対応していませんでした。結果、患者さんに保険証はお持ちですかとたずね現行保険証で確認しました。もし、全くの新患さんで現行の健康保険証をお持ちでなかったら、どう対応するべきだったのでしょうか?事情を説明し自費扱いで10割徴収し、次回以降にマイナ保険証で保険情報を確認後に差額分を返金するのか、別の医療機関へ受診をお願いするのか。いずれにしても、その患者さんには良い印象を持っていただけないでしょうし、何より患者さんが不利益を被ることになります。現行の健康保険証があって心底助かったと思いました。機械というものは不具合を起こすもの、壊れるものだと思うので、DXも結構ですがアナログも捨てたものではないはずです。
ちなみに土曜日の不具合は、翌日には嘘のように消えていました。何事もなかったかのように通常どおりの表示が液晶画面には出ていて、月曜日から問題なくマイナ保険証で資格確認ができました。当院のPC環境の問題かインターネット環境の問題か真相解明できていません。レセコンベンダーにたずねても、不具合の症状が出ている時でないと分からないと言われました。
いまさら、オンライン資格確認やマイナ保険証は不要だと言いたいわけではありません。制度の導入、推進方法について腑に落ちない点がありはしますが、その有益性や利便性は確かだと感じています。マイナ保険証の利用人数の増加量に応じて支給される一時金についても、申請不要である点は医療機関・薬局側の事務作業が軽減されると思います。
アメリカ大リーグの大谷翔平選手の二刀流は当初、否定的な意見が多かったように記憶しています。しかし今の活躍は世界中の知るところです。健康保険証についても、現行の健康保険証とマイナ保険証の二刀流で、安心して保険診療ができる方が良いと思います。
(理事 辻 京子)