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わたしたちの主張
令和4年7月15日
「子宮頸がんワクチンの個別勧奨再開に感じたこと」
 今年の4月から子宮頸がんワクチン接種の積極的な勧奨を再開する事が決定した。このワクチンは2013年4月より小学校6年生から高校1年生の女子を対象に、公費負担される「定期接種」が始まった。
 しかしその直後から、全身の痛みやしびれ、異常運動やまひなど、さまざまな症状を呈する少女らの様子がYou   TubeにアップされSNSで拡散。おまけに各新聞等が大々的に報道したためか、厚生労働省はたった2カ月で積極的勧奨は中止した。公費負担は維持するものの、対象者への通知はなくなった。その結果、中止前には70%を超えていた接種率は、たった1%を下回る結果となった。これらの症状は予防接種ストレス関連反応「ISRR」と呼ばれ、どのワクチンでも起こり得、ワクチンの成分でなく注射への恐怖による不安や緊張など心理的な部分が関係していると言う。
 失われた8年ではあるが、名古屋市における大規模な調査委員会より、総接種者の0・008%、1万2000人に1人の割合でワクチン副作用と報告されている24項目の症状は、子宮頸がんワクチン接種と関係ないことが推定された。大阪大学産婦人科教室の報告では、子宮頸がんワクチンの定期接種を逃した2000~2003年生まれの女子の中で将来的な子宮頸がん罹患増加は約1万7000人、死亡者の数は約4000人になる可能性があるという恐るべき推計結果を報告し、また今も定期接種の最終年齢である2004年生まれの女子のうち、毎日3人の命が失われる未来が確定し続けることも示しているとの事。一刻も早く家族や本人にこの事を伝えたい。
 しかしワクチンだけが全てではなく、20歳を過ぎたら検診も必要との事。お手本となるオーストラリアでは、子宮がんは極めてまれな病気との事。そのためには産婦人科や小児科などの先生のみならず、われわれ医療人全体の啓蒙活動が必要ではないかと考える。厚労省は今年4月から、他の定期接種と同様に、個別の勧奨を再開した。また1997年〜2006年生まれの未接種の女性に接種の機会を提供している。
 そのため私はコロナワクチン接種の際に来院された家族にはこの子宮頸がんワクチンの必要性の話をするようにしている。
「人の噂も75日」と申しますように、以前のように異を唱える家庭は少ないように思う。最近子宮頸がんワクチンの講演会が花盛りで増加しており、多くは各大学の産婦人科教授で皆同様に「ぜひ打ってください」と異口同音に唱えられる。
 現場からの声で、初めて妊娠して産婦人科に検診に行ったら、子宮がんで子宮全摘や内臓に転移を認め再手術を繰り返した後亡くなったり、子供を望んでもできず将来の希望をなくし揚げ句の果てに離婚された等の話を聞いたりする。生々しくまた悲痛の叫び声かもしれない。そういう事を防ぐためにも、微力ながら戦々医療人もぜひ応援しよう。
        (清沙)
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