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わたしたちの主張
平成25年8月15日

歯石と酒石

 最近、家庭の食卓にもビールや日本酒だけでなくワインが出されるようになってきたのではないかと思います。新聞に「ワイン通は口の中でワインを転がして良質の一品を選ぶ傾向があるが、度を過ぎると歯に悪影響があると英国歯科医師会が警告している」との記事が出ていたそうです。
 確かに一般的なワインのPHは3・0~4・0、ビール4・3、日本酒4・9なのでPH5・5以下で歯の脱灰が始まることを考えれば、度が過ぎると悪影響が出るかもしれません。しかし、日本酒やワインを飲む機会が多い友人に聞いてみても、特に虫歯が発症した等の影響はないと言っていました。
 日本人は作法やしきたりを守る国民で、日本酒を飲むのにマナーがあるように、ヨーロッパにはワイン道というべきものがあり、ボルドーやバーガンディなどの高級品になると、マナー通りに飲むことが紳士のたしなみとされています。ワインのソムリエで勤続年数の長い人は、白い歯に艶がなく知覚過敏症を起こしている人が多くいるそうです。
 ワインと歯との関わり合いに、こんな話があります。18世紀のフランス人の高名な歯科医の本の中に、「専門書の著者たちが・しこり・chancreと呼んでいる歯の酒石tartreすなわち歯石tufは歯の表面に蓄積し、そこにとどまるうちに、ある程度の大きさをもつ石の殻のようになる物質である」とあります。この酒石といっているのは、ワインの桶底の滓やおりが固まったもので歯石の性質に似ているのでこのように表現したらしいです。
 この歯科医は「歯を清潔に保つことを怠ったことから、酒石が沈着して起こす病気は歯周症、歯周病などばかりでなく、酒石の沈着するこの種の怠慢は口中の悪臭を引き起こし、この口臭は他人にとって耐え難いものである」と言っています。
 歯石は細菌、微生物の塊です。定期健診での除去をお勧めします。
   
 (常任理事 進 武彦)

 

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