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わたしたちの主張
平成28年2月15日

日医かかりつけ医機能研修制度

 本年の4月1日より日医かかりつけ医機能研修制度が開始されます。今後のさらなる少子高齢社会を見据え、地域住民から信頼される「かかりつけ医機能」のあるべき姿を評価し、その能力を維持・向上するための研修であることがうたわれています。

 現在行われている日医生涯教育制度認定講座の認定証を取得した上で、応用研修と実地研修のそれぞれを3年間で10単位以上取得した場合に修了証書または認定証が発行されます。現在行われている日医生涯教育が何の役にも立たないのではとの疑問を持ちながらの受講だったと思いますが、ここで初めてこの制度と結びつくことが分かります。

 なお「かかりつけ医機能」とは、・患者中心の医療の実践。・継続性を重視した医療の実践。・チーム医療、多職種連携の実践。・社会的な保険・医療・介護・福祉活動の実践。・地域の特性に応じた医療の実践。・在宅医療の実践。の6つの事項が掲げられております。さてそれではこのかかりつけ医機能研修制度が、一体どのようにわれわれ臨床医に影響していくのでしょうか。

 ここからは全く私個人の考えでありますが、おそらく在宅医療を担う開業医を積極的に保険点数上で優遇し、地域包括ケア構築がスムーズに行われるように誘導していくものではないかと思っております。あるべき姿を『評価し』とあり、かかりつけ医機能の6つの中でも在宅医療に関して重点的に掲げられていることからの推測であります。

 これからは自分の意思にかかわらず入院施設以外で最後を迎えなくてはならない人数は確実に増大し続けるわけであります。2035年には団塊の世代が85歳を迎え高齢化率は40%になります。総人口が減少し、生産年齢人口が激減した社会での高齢化率40%です。高齢者の面倒を見てくれるマンパワーは全く不足してしまっているはずですから、家庭で家族に見守られた最後を迎えることなど夢物語かもしれません。多くの方は入所施設で効率化された介護を受け最後を迎えることになるものでしょう。言葉のわずかにしか通じない外国人に介護されて最後を迎えているかもしれません。独居で最後を迎える人たちも増大し、ごく平凡に見られる人生最後の迎え方になっているかもしれません。

 かかりつけ医機能が十分に発揮されることを期待しておりますが、社会保障費に予算を十分確保されず、またマンパワーの確保も困難を極める中では、大変に難しい現実が待ち受けているのではないでしょうか。

  (会長 藤戸 好典)

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