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わたしたちの主張
平成25年5月15日

 皆保険制度の瓦解

 「保険商品・サービスの提供等のあり方に関するワーキンググループ」が、金融庁の金融審議会の中に存在している。現在の保険業法では、生命保険会社が介護サービスそのものを直接提供する「現物給付」を認めていないのであるが、契約者の了解があれば保険会社が介護サービスの事業者に費用を支払う方式を「合法的である」と認めようとしているのがこのワーキンググループである。
 生命保険会社と提携した事業者は契約者にサービスを提供し、保険会社からその費用が事業者に支払われる方式である。公的保険でカバーされないサービスの提供が行われるわけである。当然保険料の支払い能力のある層に向けられた保険商品であり、団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年度には、総人口は現在と比べておよそ5%減少するのであるが、後期高齢者数はなんと実数においても比率においても増大する事を見越してのアベノミクスの経済成長戦略の意図と、社会保障費の増大に歯止めをかけたいという2つの意図が読み取れる意図的な合法化である。
 この直接支払い型介護サービス保険の販売開始は来年度以降になる予定であるが、その後は医療サービスにおいても同様の保険が導入されるものと思われる。
保険会社と提携していない医療機関では当然サービスが受けられない。通常の保険診療を行っていた医療機関に通院していた患者さんが、保険外診療の行える医療機関に、つまり保険会社との提携医療機関に切り替えることが考えられる。ところが現在の保険診療では保険診療と保険外診療との併用は混合診療であるとして認められていないのであるから、この課題を乗り越える必要がある。
 保険外併用療養が一部認められている評価療養や選定療養と同様に何らかの名称を導入して規制緩和を図り、保険商品の合法化を図るものと思われる。保険会社と提携しない医療機関は患者が減少するが、契約した医療機関が保険会社から支配された医療を提供することになり、もちろん支払額の削減圧力にじわじわと屈していくことになる。アメリカ型医療制度が、なんとTPPに参加せずとも行われようとしているのである。「いつでも・どこでも・誰でも」安心して医療機関にかかれるというのは『幻想である』と公然と発言している委員がおられるワーキンググループである。皆保険制度が名ばかりになりかねない危険な保険商品である。

(会長 藤戸 好典)

 

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