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わたしたちの主張
令和元年11月15日
天災からの教訓
 地震、台風、洪水などの天変地異が特に近年多く日本に襲いかかってきているように思えるのは私だけでしょうか。またそれに甚大な被害のありさまを見るにつけ、純粋に天災由来だけの被害であれば致し方ない面もあるのですが、かなりの部分で人災部分が被害に輪をかけているような事案があるように思うのも杞憂であればいいのですが。
 東日本大震災の時も、過去に何度か150 20m級の巨大津波が三陸海岸を襲ったという古老の言い伝えや文献があり、「ここまで波が押し寄せた」という記述のある石碑もあったらしい。しかし、人間は往々にして「まさか自分が遭遇するなんて」と信じようとしないしまた、信じたくない気になるのは当然なことではあります。天災に遭遇した世代は後世の子供たちにしっかりと伝えていく義務があり、後世の人たちも過去に学ぶ姿勢を忘れないで欲しいものです。
 2年前の7月上旬の九州北部豪雨、今年8月の武雄市・大町町・佐賀市等の豪雨水害、10月中旬の連休直前の台風19号による記録的大雨による福島県・長野県・神奈川県・宮城県など13都県に及ぶ豪雨災害など枚挙にいとまがない。最近頻繁に起きる台風、豪雨が地球温暖化に多く起因しているらしいので、ハザードマップを見据えて行政も住民と情報を共有しながら都市計画を推進していってほしいものです。
 ところで、昭和28年(1953年)の西日本水害(28水と略)の時(小生は小学3年生)は6月25日から29日の5日間ではあったが、毎日毎日バケツをひっくり返したような豪雨が続きました。記録によると総雨量が12000 1450・との事です。筑後川や宝満川や安良川が決壊し、上流の日田あたりからの杉材等の材木が牛豚の死骸と糞尿に交じって異臭を放ちながら、川幅が3・近くになった筑後川(久留米大学病院から肥前旭駅のホームまで位)が全てをのみ込みながらごうごうと流れ行くさまは、この世のものとは思えないおぞましい光景でした。
 この28水は「梅雨前線を原因とする集中豪雨による水害」と総括されています。この災害を機に筑後川沿いにあった下野地区は旭小校区内では、一番人口の多い地区で200戸ほどの民家があったが、そのうち50戸近くが、よその地区に移転して筑後川の川幅拡張に協力されました。そのおかげで川幅は約1・5倍に広げられ堤防も高くなり、今日に至るまで66年間豪雨は幾度もあったが越水も決壊も無い河川となっています。28水は福岡、佐賀、熊本、大分日田にわたって被害をもたらし、床上床下浸水家屋が約45万戸、死者行方不明者1千余名の大惨事でした。
  (顧問 野田 芳隆)
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