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わたしたちの主張
令和2年6月15日
自粛警察

 5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されたが、クラスターが発生している地域もあり、また医療機関にも手指消毒用アルコール等も十分にいきわたっているとは言えず、予断を許さない状況が続いている。
 そのような中、少し前に某テレビ番組で「自粛警察」という言葉を知った。これはコロナ禍で自粛要請がされている状況下で営業している店舗に対し、「営業をやめろ」など強くとがめたり、貼り紙をして「警察に通報する」などと脅したり、無言の電話や怒鳴り声の電話をかける等々、私的な「取り締まり」を行う一般市民のことを指す言葉のようだ。
 営業を続けている店主等の話を聞くと、自分なりに感染対策はとっているようだが、国の支援も少なくこのままでは倒産の憂き目にあうなど、やむを得ない事情により営業を続けられており、その判断も理解できないわけでもない。また、県外ナンバーの車に傷などを付けたりして、嫌がらせをするような犯罪行為もあるようだ。
 一方では感染者が出ると、勤務先や家族探しなど特定の人探しが行われ、挙げ句の果てには家に石を投げる等の行為も出ているとのこと。しかし間違いもよくあるようで、戦前の隣組を連想した。
 「自粛警察」と呼ばれる行為を行う心理を把握できないが、その行為を行うのはどのような人なのだろうか。匿名で自分の身元がばれないようにしているが、通常の生活の中で周囲の人たちからどんな評価を受けてあるか知りたいものである。
 同志社大学の太田肇教授は「長引く自粛生活でうっぷんがたまった状態が関係しているのでは」と指摘し「自分の正義は絶対的ではないと気付くことだ」とも主張された。また、他人を過度に攻撃する精神状態にならないためには、日常的なコミュニティー以外の人とも意見を交わすことや、他人の行動に不満でも相手の立場に立って考えてみる姿勢が重要という。
 5月18日のテレビ番組で笑ったのは、加賀山代温泉の「森の栖」旅館(石川県加賀市山代温泉)が「自粛警察の皆様、お疲れ様です!プラン」と割引セールを行っているとのこと。自粛警察の方。せめてこれくらいのユーモアを受けるくらいの度量を持ってください。 (清少)

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