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わたしたちの主張
平成29年10月15日
医療福祉にこれ以上の負担増はごめんだ

 9月17日夜、急きょ具体化した「衆議院解散」での公約の目玉として、2年後に迫った消費税率を10%に引き上げて得られる財源のほんのわずかを教育の無償化に回すと約束したが、具体的にどれほどの学童・学生が救われるのか甚だ疑問である。というのも、平成24年(2012年)12月選挙の折にも「介護老人の施設入居待ちをなくす」「消費税増税先延ばし」など選挙に勝つための主張のもと自民党が大勝したところで、患者負担増や社会保障サービスの給付削減を中心とする社会保障制度改悪の諸法律が成立していきました。
 医療、介護福祉、年金、子育てなど国民の権利としての社会保障に「自助、自己責任」を持ち込み、また、規制緩和の名目で公的サービスを市場化して、国がやるべき仕事を民間の仕事に転嫁して財政負担を極力抑制してきました。
 医療福祉制度への負担増加がすべて経済成長の重荷になっているという考えが事実では無いことは、北欧を中心として世界の先進国で証明されています。社会保障の充実で国民の将来への不安を取り除き生活が安定し少子高齢化に歯止めがかかっている事や、重税であっても国民は将来の年金制度や医療制度に明るい未来があるので、日本のように貯蓄や内部留保にきゅうきゅうとせず生活を謳歌しているのです。
 日本では、「骨太の方針2015」で2016年から3年間で社会保障費の伸びを1・5兆円(1年間で約5000億円)抑制しています。「社会保障費が増大したから日本は財政が悪化した」というのが政府の見解ですが、1000兆円に上る財政赤字のうち、政府が社会保障に支出している金額は2015年(平成27年)は31・5兆円で一般会計96・3兆円の33%にすぎません。国際的にみても高齢化率は高いのに社会保障への支出の対GDP比は低水準です。財政赤字の原因は社会保障費の増大のためではなく、法人課税率軽減による税収減(企業の経常利益は20兆円増えて59兆円になったうえに、減税措置により14兆円も企業に還元)と所得税の累進性が弱められたことによる高額所得者の軽減によるものと判明しました。
 「社会保障は経済成長のお荷物」という都市伝説も、厚生官僚が月刊誌「厚生の指標」で述べているように「国民負担率が50%を超えている北欧、仏独は日本より高い経済成長をしているから、実際には両者に全く因果関係は無い」のです。
 急に降って湧いた衆議院解散に際し、甘言に惑わされることなく、国民の側に立った真の政治家をしっかり見定めた投票で、政治をわれわれの側に取り戻していこうではありませんか。 (顧問 野田 芳隆)

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