HOME » 協会新聞 » 20180715スローライフとスモール電力

バックナンバー

 

わたしたちの主張
平成30年7月15日
スローライフとスモール電力

 田舎でゆっくり晴耕雨読の生活、食材は自家生産または地場もの、仲間や家族との楽しい語らい、自然が豊かで、季節の移り変わりが新鮮というイメージがスローライフかと思う。
 しかし農業はゆっくりできる産業かというとそうでもない。作付けには準備が必要だし、作付けしたら、すぐ次の作業が待っている。間引き、草取り、虫取り、追肥、土寄せ、などさまざまな作業の上にやっと収穫となる。
 きゅうりなどのウリ類にはウリミバエがやってきてすぐ幼木を食べてしまうので、アンドンをつけてやる。グリーンピースやつるインゲンには、はわせるネットを用意しないといけない。ナスやトマトなどは支柱を立ててやる。二十八星テントウムシがやって来て、ナスを食害する。スイカやピーナツは鳥の食害を受けるので防鳥ネットが必要となる。里イモはイノシシの家族に一網打尽に食べ尽くされてしまわないように対策を立てる。
 農業をしているから生活がスローなわけではない。しかし農作業上の困難や問題は知識や技術、経験が蓄積されて、改善される。豊かな時の流れを感じる。収穫後の秋祭りこそ、スローライフの一番の楽しみかと思う。
 わが家では8年前に太陽光発電パネルを設置した。スモール電力である。昨年はエコ給湯とリチウム蓄電池を備えた。先月(6月)の発電量は565kw/時であり、使用電力は562kw/時であった。自宅の消費電力は自宅の太陽光パネルの発電量で賄えたことになる。
 家庭の使用電力が自宅の太陽光パネルで賄えることは大きな驚きである。次には学校などの公共施設や企業や工場の使用電力であるが、それぞれが広い屋上や屋根があり、けっこうな発電量が期待できるのではなかろうか。
 そうなってくるとベースロード電源として、原発は不要となる。自然電力のエネルギーとして、風力もあるし、ダムの要らない小水力発電もあるし、火山国であり、地熱発電も大きいであろう。
 九州電力といった電力を独占する大企業は不要なのではなかろうか。「戦争遂行」の目的で、効率よく電力を供給させるために全国の電力会社を統合し、終戦後に分割されたのが今の独占的電力会社であるので、地域に見合った小電力会社で十分なケースが多いと考える。
 福島の原発事故後の放射能を避けるためとは言え、十数万人の人々の強制的移動は大変な困難であったろうし、今も多くの方が故郷に帰れない状態である。とりわけ弱者である、老人・子供・病人にとって困難は一層のものであったろう。
 いまだ事故には至っていない原発も老朽化しており、最悪の危険性を持つ玄海原発のプルサーマル発電を含み、全ての原発は早急に止めるべきと思う。
 原発を運転すると大量に発生する核廃棄物を最終処理する予定もなく野積同然の状態が続いている。
 8月25日(土)に当協会主催で開催する小泉元首相の総会記念講演をぜひ、聴きに来ていただきたいと思う。
 スローライフからスモール電力を提案する。
(常任理事 山口 宏和)

●お問い合わせ ●リンク