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わたしたちの主張
令和元年10月15日
2025年から2040年に向けて
 人生100年時代の到来と言われているが、健康問題に関する国民の関心はより高まってきているように感じる。超高齢化社会を迎えたわが国では、死亡のピークは男性87歳、女性92歳となっている。2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療給付費と介護給付費を合わせて70兆円を超えると試算されている。これがよく耳にする「2025年問題」である。
 厚生労働省によれば、2025年には全人口に対する75歳以上の後期高齢者の割合が18%を超え、65歳以上(前期高齢者)を含めた高齢者の割合は30%を超える。2040年代には高齢化社会がピークに至り、人口の39%以上が65歳以上の高齢者になると予測されている。
 健康長寿社会の形成に向けて、世界に誇るわが国の国民皆保険制度をどう維持していくか、介護保険制度をどう構築していくか大問題である。また、人生最期における医療の在り方について、緩和医療、在宅医療、チーム医療、予防医療、健康増進などさまざまな視点から考える必要がある。
 日本の医療は、現在でも高齢者に対する医療が増えているが、実際に提供される医療や医学教育、専門医養成カリキュラムとの間に乖離が生じてきているように感じる。今後は、ニーズにふさわしい医療提供の在り方を検討していくべきだ。
 現状では高齢者であっても、若い層と同様の先進的な医療を受けている例は少なくない。
もちろん、必要な医療の提供の否定はしない。ただ、医療界に慣性の法則が働いていて、長らく改革が求められているにもかかわらず、ニーズにフィットしない古いシステムがいまだ支配的なのではないかという印象がある。それを打ち破って、少子高齢化の時代にふさわしい医療提供体制を構築することが求められているのではないか。
 そういう意味では、歯科医師である自分は、地域医療構想における医療の需要に見合う歯科医療提供体制の整備だけでなく、医科や介護施設などと連携し、情報交換することで地域包括ケア体制として整備していかなければならない。ガイドラインは一応は描かれた感じだが、まだ現場は動き出したばかりで、充分とは言い難い。ただ、以前よりも医療と介護の連携を図るための体制が整ってきているのは実感する。
 今後は、いかに地域ごとに質、量ともに安定した計画性のある医療を提供できるよう2025年の先、人口の40%が65歳以上になる2040年を見据えた改革の議論がさらに必要だ。
  (理事 藤瀬 恭平)
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