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わたしたちの主張
平成30年4月15日
人手不足×ゆとり教育世代=日本経済は…?

 現在、わが国では急速な高齢化に加えて人口減少が顕著となり、多くの業種において労働者の確保に翻弄され、結果的に人材不足が深刻化し、企業経営を圧迫している。
 総務省の人口推計によると、150 64歳の「生産年齢」と呼ばれる人口は、1995年の8726万人を最高として、2015年には7728万人と20年間で約1000万人減少した。また、同じ期間での同省による労働力調査においても、労働市場の中心となってきた200 50歳代の働く男性人口も423万人減少している。
 働き盛り世代の人口減少に伴い、ここ数年間の有効求人倍率が、高度経済成長期に迫る勢いで右肩上がりの上昇が続いている。労働者にとっては希望の職種に就け、良い環境であろうが、企業にとっては、必要数の従業員を確保できず事業内容の縮小を迫られ、従業員確保や離職者を減らすための賃上げに伴う人件費の高騰が企業経営を直撃してきている。
 皆さん方も、街中の多くの店舗での高給かつ好条件での「スタッフ急募」の貼紙を目にされることも多いのではないだろうか。大手飲食店チェーンが労働者不足を理由に深夜営業サービスを縮小したり、24時間営業を休止したり、年中無休営業を廃止するなど目に見える形で現れている。また、大手運輸物流企業も運送料の値上げやドライバーの労働環境改善のために配達時間の指定サービスの変更を求められた。大手企業までもがこのような抜本的な経営改革を迫られる状況においては、経営体力が小さな中小零細企業にとっては、人手不足でサービスの低下や採算に影響が出ることは必至であり、経営者にとって従業員確保は避けて通れない深刻な課題となっている。
 これに加えて、これからの日本経済を背負って行く若い世代の労働者の仕事に対する考え方にも、経営者として頭を悩ませている。私が受けた小中高校の教育は、いわゆる「ゆとり教育」が本格的に導入される前で、土曜日は休みではなかった世代である。また、祖父や父も戦後の復興や高度経済成長期を支えてきた世代であり、土日も返上で働くといった、勤勉に働くことを美徳としていた日本の企業風土の中で生きていたために、その姿を見ていた私にとって、仕事とはそんなものだ…と信じて止まなかった。すでに死語であろうが、某栄養ドリンクのCMで一世を風靡した「24時間、働けますか!」を国民の多くが実践していた時代であろう。
 しかし、昨今のゆとり教育を受けた世代の労働者の多くは、学校が土日休みの週休二日制であるため、それが当たり前であり、可能なら週休三日を望み、残業ゼロ、早い退社時刻を求める傾向にある。若い労働者の「良い給料」よりも「休日や自分の時間を大切にしたい」に表される仕事観をいかに上手くコントロールして、企業の成長に繋げて行くか、彼らの仕事に対するモチベーションを高め、彼らが働きやすい環境を提供できるような労働環境を作る、私たち経営者側の抜本的な意識改革を行う必要性を痛感している。
 (理事 梅津 健太郎)

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