HOME » 協会新聞 » 202210「オンライン資格確認 原則義務化の方針撤回を求める」

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わたしたちの主張
令和4年12月15日
「総デジタル化への不安」

 今年10月、大阪急性期・総合医療センターで、電子カルテシステムがサイバー攻撃を受けたことにより、長期間にわたり診療がストップするという事態が起きました。
 医療機関へのサイバー攻撃の事例としては、昨年徳島県の町立病院で約2カ月にわたって新規患者の受け入れがストップした他、2018年にも奈良県の市立病院で患者の情報が見られなくなるなどの被害が出ています。
 現在、医療機関においては保険証のオンライン資格確認の義務化が推し進められ、レセプトオンライン請求、電子カルテなど、総デジタル化へ待ったなしの状況です。
 もちろん、デジタル化によって私たちの診療の精度も上がり、随分便利になりました。患者側が受けられる恩恵も多大なものがあります。
 ただ一方で、現在では日常生活でもスマホ、クラウド、キャッシュレス決済など、その範囲がますます広く、生活の中枢にまで及んでおり、道端で財布を落とすのとは違って、致命的な攻撃やトラブルが「世界中どこからでも、どこにいても、いつでも同時多発的に」起こりうる状況にあります。
 当院では今年の4月からオンライン資格確認を導入していますが、たった数カ月の間でもデータ読み取り時のトラブルが数件あり、復旧に日数を要しました。
 普及率も低く、アナログの保険証と併用できている現状であれば応急の対応もできますが、これが近い将来、全国の全患者がマイナンバーカードのみとなった後に各地でトラブルが起こった場合、メーカーの即日対応が可能とは思えず、今回のような悪意のある攻撃を待たずして至る所で機能不全に陥ってしまうのではないかと危惧しています。
 昔から「複雑なもの、便利なものほどすぐ壊れる」と言います。
 デジタル化による快適さ、利便性はもはや手放すことはできませんが、それゆえに現代人にはそれらが突然奪われた時の対応力が身についていません。かく言う私も、今レセコンが壊れてしまったら、日々の請求を手計算で行える自信はありません。
 停電時の備えとして手動レバーを備えてある電動トイレのように、もしもの時はアナログで動かせる仕組みを残しておく、ただ快適さや利便性を追求することが目的であれば、あえてアナログなシステムを残しておくなど、多少遊びのある世界に留めることも1つの勇気ではないかと思います。
 そして、デジタル化が進む程に、何より私たち自身が生身で生きていく力を養っておく必要性を強く感じています。
(RED)

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