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わたしたちの主張
平成25年2月15日

 大丈夫かアベノミクス

 アベノミクスは「安倍+エコノミクス」の造語とも言われている。戦国時代の毛利元就の三本の矢に例えられたように、①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③民間投資を喚起する成長戦略、の3本の柱を主としている。
 ①に関しては安倍総理が日銀に圧力をかけ、政府と日銀との間で共同声明を発表し、デフレ脱却へ政府と日銀が連携を強め、一体となり取り組む。日銀は物価安定の目標を消費者物価上昇率で2%として金融政策を行い、できるだけ早期の実現を目指す。経済財政諮問会議で取り組み状況を定期的に検証することがその骨子である。
 市場はとりあえず急激な円安と株高で、輸出を主とする製造業は一息つけそうな気配だ。今後③がどう動くか。
 私は経済は全くの素人で分からない。しかし、この状態が維持できればいいが、失速した場合、賃金は上昇せず、物価が上がりおまけに消費税増税10%が待ち構えている。過去の経験から、消費が冷え込むのは必至だろう。また、住宅ローンの金利も上昇するだろう。実体経済は浮揚せず雇用拡大や賃金上昇が伴わない悪い物価上昇では、国民生活が脅かされる懸念が十分ある。
 報道によると、諸外国より、日本だけ急激な円安を誘導して利益を上げている。また日銀などの中央銀行の独立を政治で脅かしていいのかとも言われている。
 いずれにせよ、「結果オーライ」ならいいが、膨大な国債による借金で、ギリシャやスペインの二の舞にならないのか。国民1人当たり500万余の借金を、今後減少するであろう次世代に残していいのか。
 特に心配なのは、介護・福祉分野だ。民間の景気が良くなると、介護や福祉などの求人への応募がただでさえ少ないのに本当に人手不足になり、施設基準が守れなくなる施設が続出しないか心配である。
 従来より自民党がやってきた公共事業は、先進五か国とは比較にならないほど多額で、かつ経済回復には効果がないと外国からも指摘されてきた。今度の安倍政権では大幅に増額され、生活保護者の保護費は逆に減額となった。私は福祉や介護の方に予算を増額する方が継続的な雇用の点から、ずっと民間の景気回復に効果があると思いますが、いかがでしょうか。

(常任理事 古賀 聖祥)

 

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