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わたしたちの主張
令和4年2月15日
「ウイルスは過度に恐れず、侮らず」

 新型コロナウイルスが最初に報告されてから、早いものでもう2年がたとうとしている。日本では昨年3月頃から医療従事者へのワクチン接種が始まり、一般高齢者への接種が5月連休明けから各医療機関で施行開始された。鳥栖市の場合7月上旬までに65歳以上の7割強が2回目の接種を完了し、日本でトップクラスの接種率を上げることができたのは、素晴らしい事だった。
 古来から人間は細菌やウイルスと戦ってきたわけで、細菌には抗生物質という強い味方を得て(耐性菌の出現問題はあるが)少しは優位に立てたというところだが、ウイルスに対しては素晴らしい抗ウイルス剤が出現するまでは、ワクチンを打って抗体を獲得する事しかないだろう。ウイルスでも風疹、麻疹、ポリオ、おたふく風邪などは、幼少期に罹患すれば軽症で済むが大人になっての初感染ではかなりの重症になる事が多いので、平成6年予防接種法が改正され、BCGや三種混合などと共に努力義務接種となったわけである。
 ところで、デルタ株に替わって昨年末から猛威を振るっているオミクロン株が今までとは比較にならない程の感染力を持って世界を席巻しているが、感染した人の死亡率や重症化を高めるような毒性の強い変種株の可能性はあるのだろうか?
 長崎大学の森田公一教授は「ウイルスは、宿主と共存するために感染力は強くなっても長期的にみれば弱毒化していくもので、天然痘のように強い病原性をずっと維持しているウイルスはまれにあるが、〝強毒化〟していったウイルスは存在しません」とのこと。
 デルタ株が主流だった5波(昨年7月20日から2カ月)の時とオミクロン株が主な6波(昨年12月1日から2カ月)の時を、ジョンズ・ホプキンス大学の統計で計算してみた。5波の時、世界の総感染者数の増加人数は2カ月で3707万人で死者数は2カ月で57・3万人(日本の感染者数の増加は84・7万人で死者数は2カ月で2201人)であったが、6波の時は世界の総感染者数の増加人数2カ月で1億784万人で死者数2カ月で44・24万人(日本は感染者数78・8万人で死者数増加は2カ月間で337人)であった。
 6波の2カ月のうちオミクロン株に置き換わったのは今年1月以降で、2月になれば感染者数は爆発的に増えるかもしれないが、肺にまではほとんど達しない株のため、死者数は5波時を大きく下回ることが予想される。そして、感染者も3月上旬頃から漸減していくのでは(Newsweek1月18日号「オミクロン株はコロナの最終章?」)との意見が出始めたようです。
 ひとたびウイルスに感染すると、免疫系は感染を防ぐ中和抗体とウィルスに感染した細胞を破壊するT細胞を生成して適応していく。オミクロン株の突然変異は中和抗体の能力を低下させたが、感染細胞を破壊するT細胞の機能は衰えていないので、オミクロン株感染者が急増しても致死率は抑えられている事実(南アフリカ)と一致するとの事である。
(顧問 野田 芳隆)

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