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わたしたちの主張
平成26年7月15日

日本の分岐点か~生命と自然環境保全~

 国民がブレーキの壊れた大きな車に乗せられては、たまらない。

 日本が世界を相手に戦い、無謀と評される前の大戦。なぜ、止められなかったのか、幼い時から不思議であったが今、また同じ状態に落ち込むのではないかと危惧する。
 危惧するだけでなく戦争の恐ろしさとナンセンスさを知る者の一人として、何かを行動せねば戦争で死んだすべての人に相済まない。同年代の少年少女も原子爆弾や機銃掃射の地獄の中で命を絶たれた。生き残った者には語り継ぎ、次の悲劇を防ぐ責任が課せられていよう。
 東条英機が前の戦争へと国民を引きずり込んだとされているが、その時に大政翼賛会が組織され「大政翼賛会に有らずんば、人にあらず」という雰囲気が作られ戦争反対の意見が押しつぶされ、一番大切な外交が機能しなくなり、さらにブレーキが壊れた状態となり、戦争へと暴走してしまったと知れば、「止めて!!」と今でも叫びたい。
 そして、今の日本と相似と言えないだろうか?
 わが佐賀県が誇る偉人田澤義鋪は、大政翼賛会に勧誘されて、その時の断りの言葉が面白い。「僕は政治的に処女だ。処女は乱暴な男が恐い。大政翼賛会が僕には恐ろしい」と勇敢に拒絶した。そして、戦争に反対し続けて多くの圧力に耐え逆境を生きられたと下村湖人著「この人を見よ」で知り、その立派さに胸が高鳴った。
 今、NOはNOと言う勇気を持たないと危ない。身近な所では、諫早干拓・城原川ダム・長崎新幹線・玄海原発と自民党一党独裁で民主党の時より、一層困った状態となっている。しかも、小泉・細川両元首相が原発に反対と、やっと成長して主張しておられるのにブレーキの壊れた現首相は聞く耳を持たれぬ。神佛ならぬ人間が、独断的で暴走しては危険極まる。
 その反対の良い範例を示された方を思い出す。武雄河川事務所長で赴任してらした、現九州大学大学院教授の島谷幸宏氏である。石井樋を三面コンクリで固められるように決まっていて、一部工事が始まっていたのをご破算にして成富兵庫茂安公ゆかりの石井樋にできる限り復元をと石積みになさったり、相知町の「あざめの瀬」を地域の長老方の意見を取り入れ自然工法で整備され県外から多くの見学者をうならせた方。佐賀で数年よい仕事をなさった後、日本中の川工事を自然工法にするには専門家の教育が大切と考えられた由で九大大学院の教授になっておられて、成富兵庫茂安公を治利水の神様と崇め多自然川づくりの後継者を育成しておられてご立派。
 神埼出身の者として「城原川・田手川の茂安公の川工事は世界遺産の価値あり」の論説を佐賀新聞で見た日の興奮が忘れられない。独善的でない若者が次の世代を築く事を祈りつ、明るい未来に希望を繋ぐ。
 (常任理事 太田 記代子)

 

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