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わたしたちの主張
平成26年5月15日

 TPPと医療などについて

 今回のオバマ大統領訪日の目的は「米麦」「牛豚肉」「砂糖」「乳製品」などの関税引き下げ要求と「厳しい日本の環境基準をクリアできない米国産自動車輸入を寛大に認めてくれ」などが主な議題とのことで、新聞マスコミもこれらの関税の落としどころがどのくらいであるのかを探るのに躍起になっている。日本政府としては、「コメ」の関税をコメ生産農家の顔をつぶさない程度にしようとパフォーマンスを見せているが、アメリカ大統領の中間選挙が過ぎて本気で迫ってきた時、「尖閣諸島への安保適応」のお礼に日本政府は、農業分野での日本の壊滅的譲歩をうのみにしてしまう事が大いに危惧されるのである。
 さらに、輸入時の衛生植物検疫制度(SPS)は食品の安全安心を図るわけだが、TPPではその簡素化が課題になっているのである。
 先ごろ当協会がアバンセホールで上映したフランスのドキュメンタリー映画「世界が食べられなくなる日」「モンサントの不自然な食べ物」の二編を鑑賞して、遺伝子組み換え食品の発がん性などに大いにショックを受けたが、日本はトウモロコシの世界一の輸入国で、その輸入量は年間1600万トンでその9割がアメリカ産、かつアメリカのトウモロコシはその88%が遺伝子組み換え品種との事である。大豆もトウモロコシもアメリカからの遺伝子組み換え(GM)食品がさらに大量輸入されるようになれば、われわれ大人は、日本の子供たちに顔向けできない。
 さらに、TPP問題のうち大きな問題であるにもかかわらず、マスコミ報道がほとんどなされていないのが「医療問題」である。紙面上では多くを語れないので昨年9月~11月号の『月刊保団連』を読んでもらいたいのだが、まず、保険適用外の措置を増やす「革新的医薬品の導入」と「高額医療用の革新的米国医療機器の審査迅速化」は、混合診療をどんどん増やすことにつながり、ついには世界に冠たる日本の「国民皆保険」の崩壊の序曲となるのである。「医薬品を不特許とすることを認めない」かつ「特許保護期間は最短20年とする」こともセットで要求してくるので、薬価制度で低く抑えられている外国の医薬品メーカーが高額医薬品を保険外しで売ることが可能になり莫大な収益を上げ、医療保険制度の崩壊が必至となるのである。

    (顧問 野田 芳隆)

 

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