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わたしたちの主張
平成28年6月15日

「女性のもっと仕事がしたい!」に応えよう

 私の歯科医院には子育て世代の母親スタッフが数名います。そして私自身も子育ての真只中、保育園児から小学生を持つ共働き家庭であり、現在、「子育てをしながらでも仕事をしたい母親がいる家庭」と「子育てをしながら働きたい母親を雇用する経営者」の両方の立場を同時に体験しています。

 まず私自身が直面した問題として、保育園の入園要件の問題がありました。

 「仕事を始めたい(復帰したい)から入園させようとしている」のに、「就労していないと入園の申請ができない」という絶対条件があり、矛盾が生じているのです。

 また、4月に入園しようと思えばその手続きは前年の9月頃に始まるのですが、結果が届くのは3月頃になります。これは雇用する側としても問題で、「うまく入園できたら」という条件付きの人を秋から採用するということで、3月の入園の通知次第で土壇場で覆るリスクを抱えるわけです。

 また、なんとか入園できたとしても、幼児のうちは熱を出したり感染症にかかったりで急な早退、欠勤を余儀なくされることもしばしばです。しかし、特に小規模な歯科医院などでは急に一人抜けてしまうというのは残ったスタッフにとっても大きな負担になることもあり、とても気まずそうに早退していることが多いのではないでしょうか?

 このような話は産休・育休から保育園、小学校、放課後児童クラブ、扶養の範囲による制限など、子育てをしながら仕事を続けていく過程で常につきまとう問題であり、それぞれを単体で考えてもらちが明かないものだと思います。

 これら全てを子育て世帯中心の考えで解決していくわけにもいかないのでしょうが、私が感じるのは、大きく捉えれば同じ子育てに係る制度なのに、それぞれの継ぎ目がスムーズでないこと、多くの職場において、そのような子育てのライフサイクルに対応する準備が十分でない、ということです。

 妊娠・出産0 育児にまつわるさまざまな変化、制限というのは、朝起きて昼に休憩をして夜は寝る、といった人間の基本的なサイクルと同様に、当然のものとして配慮されるべきことであり、間違ってもそれがハンディキャップのようになってはいけないと思います。

 待機児童問題は待ったなしの状況です。次は当然、職場の受け入れ態勢も話題に上ってくることでしょう。

 行政にはこのライフサイクル全体を通して現場でリアルに通用する制度の整備を、私たち雇用する側も、そのライフサイクルを大前提とした職場環境を備えること、それが当たり前な世の中になって欲しいと思っています。

 私も今の状況を過ぎれば忘れてしまう、この主張なのかも知れませんが、今だからこそ自院でできることに真剣に取り組んでいきます。

 (理事 古庄 龍央)
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