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わたしたちの主張
平成24年6月15日

 食は命

 最近、低体温の子どもが増えているという。それが子どもの生活にどのように影響するかは、現代の子どもを見ていると分かるような気がする。学校では、すぐにカーッとなる子や、集中力に欠け、じっとしていられない子が増え、学校生活にも影響が出ているという。
  それは、食生活にも問題があるようだ。小学5年生時で朝食を食べない児童は約2割で、年々割合が増えていき、高校卒業時では6割を超えているという調査もある。これは、就寝時間が遅くなり、朝起きるのが遅くなることと、夜食が原因とも言われている。
 人は食べることで体の機能を維持している。だから、食生活の乱れは身心に悪い影響を及ぼすことになる。2005年に食育基本法が成立し、近頃食育をテーマにした記事や番組を目にすることも多くなった。確かに、そういった記事等を見た時は食の重要性を認識するのだが、3日坊主になりがちだ。
 先日、佐賀でもご講演いただいた佐藤弘氏(西日本新聞社編集委員)の食育に関する講演『口は命の入り口、心の出口~食卓の向こうに見える未来~』を再び拝聴する機会を得た。佐藤氏は「皆さんは命を見たことがありますか?」と問い、「肉、魚、米、野菜、すべてのものには命があり、その命をいただいてわれわれの命がある。だから食べるものには気をつけないといけない」と食の重要性を訴えた。 最近では、栽培方法も変わり年中食せるものもあるが、やはり有機栽培の旬の野菜がよいようだ。
 日本人のコメの消費量も、昭和35年は年間一人あたり115kgあったものが現在は61kgと半減している。恐らく、今後も減り続けるだろう。
 また、TPPに参加すると外国から安い農産物が入ってくることになる。しかし、それが安心して食せるものかどうかは定かでない。街頭でインタビューすると「食材は多少高価でも安全なものを買う」と答える人は少なくないが、食の重要性が広く認知されているとは言い難い。近い将来、食について無知なまま育った日本人、特に若者の健康状態がどのようになっているか心配だ。
 国は国内の食料需給率を上げ、安心・安全な農産物の供給に努めるとともに、身心の健康を育む健全な食生活を実践するため、食の重要性を学ぶ教育に力を入れてほしいと願う。

 (副会長 新井 良一)

 

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