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わたしたちの主張
平成24年3月15日

歯科診療報酬を考える

 年は診療報酬・介護報酬の同時改定である。2月10日に中央社会保険医療協議会(中医協)は総会を開き「平成24年度診療報酬改定」について答申を行った。
 
今回の改定では、「在宅歯科医療の推進」において「常時寝たきり状態」の表現が見直され、20分の時間要件も一部是正され、歯科衛生士の診療補助が評価されたことはわれわれの運動が反映されたようだ。
 現在の歯科診療報酬点数表において、診療行為と点数の双方が、19864月時点と同じであるのは58項目であることが、共産党の田村智子参議院議員が提出した質問主意書に対する昨年96日付けの政府答弁書で明らかとなった。
 田村議員は質問主意書で、歯科診療報酬が長期にわたって据え置かれたため歯科医療機関の経営は危機的な状態にあり、前回の診療報酬改定による引き上げによっても回復されたとは言えないと指摘、次の二点について質問している。

一、歯科診療報酬のうち1986年改定以来、25年間点数が変わっていない項目について明らかにすること。
二、歯科医療崩壊の縁にある原因の一つは長期にわたって据え置かれてきた項目をはじめとする歯科診療報酬、特に歯科特有の技術について適切な評価が行われなかったことにある。次期診療改定で歯科診療が適切に確保されるよう十分な評価がされるべきと考えるが、政府の見解を明らかにすること。

 
これに対して政府は、25年間点数が同じであるのは58項目であるとした。また、物価、賃金等の動向、歯科医療機関の経営状況、医療保険財政の状況等を総合的に勘案し、中医協における議論を踏まえ、必要な項目については重点的に評価するなど、適切に設定していると回答した。そして、今後も適切な歯科診療の確保を図るため、中医協における議論を踏まえて設定するとした。
 25年間も据え置きの歯科点数が58項目あって、適切に設定しているとは全く思えないし、とても納得できる診療報酬ではない。
 さて今回の改定において、その58項目の4つ(歯冠修復物又は補綴物の除去、印象採得、咬合採得、有床義歯内面適合法)が点数アップとなった。2つ(臼歯金属歯、金合金鉤修理)は削除された。よって据え置き項目は58から52項目になった。物価、賃金等の動向など総合的に勘案し、25年以上据え置く点数が50項目もあるのは不思議である。
 また歯科医師になる歯学部の受験者が激減している。2011年度の入学試験では歯学部29校の10校が競争率1.2倍未満と無競争に近い状態であった。歯科医療崩壊を食い止め、改善させるためにも、大幅な点数引き上げと不合理是正が必要である。つまり技術と労働に正当な評価と報酬を与える診療報酬でなければ歯科界に未来はない。

                       (常任理事 千葉 研介)

 

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