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わたしたちの主張
平成23年10月15日
大震災と原発事故から学ぶこと
  

日本だけでなく全世界に衝撃が走った3月11日は、ニューヨークの同時多発テロ以来のビックニュースとして歴史に刻まれる重大ニュースであるが、子や孫への禍根を断つためにもしっかりとした検証と反省と次の世代への教訓も含め、世界の英知を集めて提言していかなければならない。 天災たる地震津波だけで亡くなった方が1万6千名弱あり、行方不明者も3900余名の多きに達したのみならず、人災故の事故といわれる原発事故は被災者への今後数十年にわたる厳重なケアとフォローがわれわれに課された課題として重く投げかけられた。事故以降大気中に放出された放射性物質は福島第1原発の1~3号機だけで、約77万テラベクレル(テラは1兆倍)で、チェルノブイリ原発事故で放出された520万テラベクレルの1割を超えた(朝日新聞)。100~200ミリシーベルトの放射能を浴びた人は何十年もの間に癌の発生が線量の大きさに比例して増えることが分かっているので、特に影響の大きい子や孫など次世代を担う人達をわれわれの世代の者の責任で守っていかなくてはならない。お米や葉物や根菜などの野菜類、お茶葉、牛肉などで、セシウム137の移行係数が高いといわれるがこのセシウム137は今度の原発事故で、広島原爆の168倍放出されたとのことである。放射性ヨードやセシウム137は大気の流れに棚引きながら200・以内のみならず500・半径域までもホットスポットを作りながら拡散していったと推測されている。

もしもわが佐賀県の玄海原発が近隣諸国のミサイル攻撃でも受けようものなら、佐賀、長崎、福岡、熊本くらいまでは立ち退きや避難地区になるだろうし佐賀が誇る「佐賀牛・伊万里牛」「佐賀米」「嬉野茶」「有明海苔」などはすべて「汚染」のレッテルを貼られて壊滅的打撃を受けることになりかねない。電気料金が少々高くなるとか、二酸化炭素排出が少し減るとか原発に使用する原料費が安く手に入るとか「些細なこと」を理由に原発を推進していけばその代償はとてつもなく甚大なものになる危険性があることを今度の福島原発事故から学ばなくてはならない。政府自治体は国民県民の健康をいかにして守っていくかという視点にのみ立っておけばいいのである。

最後に新聞の読者の声の欄に掲載された2編の意見を紹介したい。一つは16歳の女子高生が「原発の誘致段階で、賛成派反対派が対立し争っていたはずで選挙にあたり原発推進を選択したのは有権者ではなかったのか。私は有権者がその責任をとることを避けているのだと思えてならない」。あと一つは、家が津波で全壊した70歳男性が「今回の鉢呂氏の発言を聞き、こみ上げてきたのは安全をなおざりにして原発を推進してきた者への怒りだ。非難されるべきは、事実を語った鉢呂氏ではなく、「死の町」を生み出した政治家、官僚、電力会社、御用学者たちのはずだ。その責任追及こそ、メディアの仕事ではないのか」。

諸先生はいかがお考えでしょうか。

(顧問 野田 芳隆)

 

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