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わたしたちの主張
平成23年4月15日

生命に安全エネルギーを
 ~人工放射線は医療用に~

 11.3.11は日本の歴史に残る大惨事の日となった。世界中の人に9.11と重ねてdisasterの日として語り継がれるであろう。一万人を超す命が奪われいまだに行方不明者の捜索さえ、ままならない地区がある。この犠牲を教訓とせねば亡くなられた方の霊は浮かばれない。
 地震と津波は天災、されど原発事故は人災である。未曾有の天災に加え放射能のために行方不明の家族の探索も出来ずに不自由な避難を強いられる人災が悲劇性を増幅している。
 まだ子供が幼い頃、デパートの人混みに見失い、気も動転して探し回った経験がある。津波であれば、その心配はデパートの混雑どころの騒ぎでは済まない。避難のため、探し当て、助けてやれなかったと嘆きつつ生き続ける母親の悲しみを想うと涙が止まらない。そして、「人類と原発は共存できない」という識者の言葉
を思いおこす。
 数年前に「原発がなくとも日本の電力は足りる」との学者の計算を聞き目から鱗が落ちた。今回の場合、停電・節電が検討されるのは、原発以外の発電所も地震で同時にやられたからと聞いた。原発に頼り過ぎたら事故の時に放射能で復旧が遅れ困った事態を招く事を今回学ばねばなるまい。
 人災である原発事故の場合、想定外という言葉には非常に抵抗を感じる。想定すべきをしてなかったという事では済まされない事は今の福島の大変さを見れば判然としていよう。
 原発は、もともと温暖化防止のCO2排出量の削減にはカウントしないという国際協定があったと佐藤栄佐久氏が福島県知事の時、出された本にも記載されている。それがなぜ、温暖化防止を口実に、原発増設論へと傾いたかは謎である。
 原発で発する熱が温暖化を促進している事こそ調べられるべきであろう。玄海原発は一万五千トン(筑後川の約二倍強)の温排水量である。この温排水は通常の海水の温度より七度も高温であるから、これこそ直接的な地球温暖化ではあるまいか。
 昨年十二月十一日より玄海原発三号機はヨウ素漏れ事故で止まっている。現在の発表では五月にプルサーマル再開の計画というが、このままプルサーマルは中止しておくべきである。プルサーマルはウラン燃料のみの発電より格段に毒性が高く経済的に高くつき使用済MOX燃料は処理法も決まっていないのになぜ、固執するのか。
 高速増殖炉もんじゅもナトリウム漏れ事故以来十五年間休眠状態、六ヶ所村の再処理工場もトラブル続きで核燃料サイクルは破綻してると言わざるを得ない。ここで本当の英断は安全代替エネルギーに変換する事であろう。
 一月に二度、経済産業省が太陽光・風力発電で新聞一面広告を出された。
 生命を守る立場で医師集団も立ち上がるべき時である。特に被爆国日本の医師集団は歴史に厳しく審判され試されていよう。
 最後に湯川秀樹博士の名言を復習する。
 「原子力の脅威から人類が自分を守るという目的は、他のどの目的よりも上位に置
かるべき」

(常任理事 太田記代子) 

 

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