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わたしたちの主張
平成23年7月15日
今更ながら
 

 

 毎年年度初めから初夏のこの時期にかけて、様々な税金の納付案内が届き、封を切るのにやや緊張する。納税するのが嫌なのではない。無論それは国民の義務であると心得ている。
 税金と言えば思い出す話がある。大学入学直後のオリエンテーションの時の学部長の話だ。「君たちはそ
こそこ勉強ができて入試に受かり、今そこにいるのだろうが、そのことを自分だけの力だと思ってはいけない。住んでいた地域や県、国の大きな支援がこれまでにあったことを忘れてはいけない。特に君たちは国立大学の学生なのでこれから国家資格を取るまでに、何千万という国のお金を使うことになる。税金を使わせてもらっていることを忘れてはいけない。資格を取った後も、自分ひとりの力でそうなったと思ってはいけない。受けた恩は返さなければならない。周囲に社会に貢献しなければならない。それは義務であり責任だ。」というような内容だった。
 何年もその話を思い出すことはなかったが、研修医になり初めて見た給与明細書に税の項目を見つけ入学
時の学部長の話を思い出した。以来、今度は納税する順番が回ってきたのだから、税金は文句を言わずにすっきり払おうと思い、今日までその思いは変わっていない。むしろ、毎年少しずつ納税額が増えることにひそかな満足感すら持っていた。
 しかしその後のこと、つまり税金の使途については、東日本大震災が起きるまで全くといっていいほど関
心を持っていなかった。震災で被災された方も支援する側も懸命な生活、活動が続いているのだろうが、メディアからは復興への道のりが厳しいことが日々伝えられる。復旧復興に莫大な財源が必要であるのは明白だが、この国にお金がないこともわかっている。では財源はどこから捻出するのか。復興財源と診療報酬や介護報酬の財源は別に考えるべきだと思うし、税と社会保障の一体改革と最近声高にいわれているものにも疑問を感じる。来年4月の診療報酬と介護報酬の同時改定は予定通り行われそうとの見込みだが、この時期だからこそ医療や社会保障はより充実させていくべきではなかろうか。
私を含め多くの国民は、節電など自身の負担増や増税の必要性を理解し納得しているようにみえるが、そ
こにつけこんでというと言葉は悪いが、増税に次ぐ増税の時代が来るのではないかと不安に思っているのも事実だ。今更ながらではあるが、税の仕組みや使途に関心を持つこともまた納税者の義務であると思うようになった。
(ふうけんばす)

 

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